生前整理

母は10年前に亡くなりました。年齢は92才でしたので、兄妹3人皆それなりに覚悟をしており静かに厳かに母を送る事が出来ました。あれは確か母が80代の半ばだった頃と思います。

まだ元気で頭もしっかりしている時のある日、兄妹3人に連絡を入れ皆集まるように言われました。私達は何事かと思い母の所へ行くと(その時は父はすでに亡くなり母が1人で生活をしていた)母の部屋は足の踏み場もないくらいに物で溢れていました。

私達にはゴミとしか思えなかったのですが、母は大真面目に自分の持ち物を一点ずつ私達に渡して行きました。ゴミと思っていた物の中にはかなり高額の貴金属、着物、保険証券他諸々の物がありました。母は3人平等にほんとに一点ずつ渡して行ったのです。

母が言うには私達3人が自分が死んだ後喧嘩したらいけないので今分けておく。後、死後に保険金、土地などを処分してきちんと3人で分ける事、と言う事でした。

母が亡くなった後、もちろん母が生前言ったように残りを皆で平等に分けました。家を売るのが時間がかかりましたがそれもきちんと整理が出来ました。あれが母の生前整理だったのですね。